読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2013年12月17日  「My Song」  第一回

昔書いた小説

http://www.flickr.com/photos/31897250@N08/3222548483

photo by Matt Perreault

                                                   1.

 東京に住んでいる人でも茗荷谷なんて駅は知らないかもしれないが、確かにそういう名前の駅は実在する。どこにあるのかというと丸ノ内線の池袋と御茶ノ水の間にある。御茶ノ水からだと後楽園、本郷三丁目となって次だ。駅のそばには大学が二つある。一つは御茶ノ水女子大学で、もう一つは拓殖大学だ。それから各県の県人会の寮もけっこうある。駅前は国道が走っていて、その両脇はちょっとした学生街っぽくなっていて、ハンバーガーショップやら文房具屋さんや学生向けのレストランがあったりする。

 僕は十八の春、晴れて大学生の身となり上京としてこの茗荷谷の駅から歩いて三分くらいの距離にある県人会の寮に入ることになった。

僕は新しい生活にとてもワクワクした。毎朝、駅に向かう途中ではサンシャインのビルが見えたし、御茶ノ水で神田川を渡って中央線に乗り換える時など、つくづく東京に来たんだなあーと実感してしまった。学校へ行く途中に新宿やら吉祥寺を通るので、途中下車してしまって映画を観たりもした。

 

 寮には実に様々な人達がいた。県でトップの高校からストレートで東大法学部に入り、卒業までに司法試験と上級公務員試験に受かると言ってはばからない奴。学習院に入り、皇族関係の女の子までをガールフレンドにしてしまうプレイボーイ。早稲田に二浪して入ったのはいいが、学校に行かずにマイナーなパンクロックばかり聴いている奴。バイクで名古屋からやってきた不良少年。将来は政治家になると言っている弁論部員。とにかくありとあらゆる種類の人がいて、毎日が無茶苦茶に楽しかった。 (つづく)